画家 浜田隆介

詩集

詩・酔いどれ舟 3

小夜曲

神サマが好きになってしまったという

金輪際惚れたり拝んだりしないから

難儀なことだがまあいいだろう

ソラ そら そら

闇の中からバッカス爺さんと
ヴヰーナスねぇちやんがやって来るぞ

慌てるな、みっともないから

空き腹をかかえて怨情の秋波をおくる

やっぱり惚れてしまったんだろう

真夜中のセレナーデ

起承範結

百年一期が一世紀とか
一〇年一期がひと世代

たかがにんげん半世紀と・ちよつと

生きざまという幻想の起承転結

神サマよ、
ここはひとつ陽気にぱつと、
端よっていきましよぅや、

スチャチャカチャン トテチンシャン
チットコドッコイ コラヤノヤー

逃げたらアカン
なげたらアカン
罰が当る

すみません

黎明(れいめい)

自然哲学の倫理は消滅して
あちこちに散らばって存在すると謂う

予言・念力・テレパシー・超能力
憑霊・数霊・言霊

感情認識の学間を“美学”と謂うとか

いのちのありかたに形而上のてにおはがあってたまるか

個性が空洞化してボロボロとくずれていく土壌
荒廃した構造の片隅で膝をかかえて
針の穴程の黎明をじっと待っている

神サマ

怒っているんだよわたしは

第1期
(1983年2月~11月)
第2期
(1985年6月~1986年5月)